うしろに立つ少女の難点?

「うしろに立つ少女」という作品は、「消えた後継者」に比べると好き嫌いの別れる作品であるようです。 
「1」に関しては嫌いという方にはあまりお目にかかることがありませんけれど、「2」についてはファミ探ファンの中からでも受け付けられない部分があるというご意見を度々聞くことがあります。 

そうした方が一様におっしゃるのは「幽霊」というものに対して肯定的なストーリー展開が納得できない、許せない、ということのようです。逆に、この点に対してさしたる違和感を覚えなかった方から「うしろに立つ少女」は好きじゃないというご意見を聞くことはほとんどありません。 

もっとも、これは私の経験談ですので、もちろん実際すべてがそうとは言えませんけれど。 
 

ファミ探は推理物にジャンル分けされる作品のはずですので、やはり現実世界で何かを行うのは生きた人間であるべきでしょう。 
もし推理物で幽霊が何か出来るとすれば、"人をとり殺す"ことさえ可能になってしまい、完全犯罪が成り立つからです。 
うしろの少女はそこまでやったわけではないですが、それでも気になる方には気になる点でしょう。 
 

しかしながら、”幽霊が存在して何かしている”という考え方が、ストーリーを無理なく進める上で役立っている点は無視できません。 
特に小島洋子が一週間足らずで真犯人にたどり着いていることに対しては、ある種の理屈を与えているのではないでしょうか? 
”幽霊がいる”というストーリー展開に理不尽さを覚えられた方は、金田事件を知りすぎていた洋子も、やはり理不尽な存在に見えてしまったということがあるかも知れませんね。 

もちろん、霊界通信抜きの洋子が一週間で真犯人にたどり着いたという考え方は出来ます。幽霊がいるとするより、余程まっとうな考え方でしょう。ただし、この場合は丑美津警察辺りが無能者として吊るし上げにされるかもしれませんが…… 



幽霊がいることと、女子高生が時効目前の殺人事件を短期間で解決してしまったこと、どちらにより理不尽さを感じるか……どちらにも納得が行かない方には、「うしろに立つ少女」はなかなか感情移入の難しい作品でしょうね。

 
 

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  Apr.2000